こんにちは多聞です。
今回は配当利回り4.1%の「2121 ミクシィ」についてファンダメンタルズ分析を行います。
*2021/10/09現在
この記事の主旨
・ミクシィの業績・財務状況・キャッシュ・配当を分析
・その上で長期保有できる株価どうか判断する
ミクシィについて
簡単な概要は以下の通りです。
決算 | 3月 |
---|---|
設立 | 2000.10 |
上場 | 2006.9 |
特色 | 国産SNS『ミクシィ』運営。13年に投入したスマホゲーム『モンスターストライク』が収益柱に |
連結事業 | エンターテインメント84(45)、スポーツ11(-42)、ライフスタイル5(-7) <21・3> |
業種コード | 9050 |
業種名 | サービス業 |
解説記事 | 【投資先行】ゲームは『モンスト』が人気IPとのコラボにより安定貢献。公営競技関連のサイト・アプリがユーザー数伸ばす。写真共有アプリ『みてね』も好調。ただ競輪アプリの広告宣伝積極投資で営業益反落。 【暗号資産】取引所運営するビットバンクの第三者割当増資(約70億円)引き受けて業務提携。競輪アプリ『TIPSTAR』はマルチプレイ機能を追加、遊びの幅広げる。 |
簡単な沿革
- 1997年11月 – 笠原健治が東京大学在学中に IT系求人サイト「Find Job!」の運営を開始。
- 2004年2月 – ソーシャル・ネットワーキングサービスサイト「mixi」の運営を開始。
- 2006年2月1日 – 株式会社ミクシィに商号変更。
- 2006年8月14日 – 東京証券取引所がマザーズへの上場を承認。
- 2011年4月1日 – 求人広告部門を分離し、株式会社ミクシィ・リクルートメントを設立。
- 2013年10月10日、スマートフォン向けアプリ「モンスターストライク」の提供を開始。
- 2020年6月23日 – 東京証券取引所第1部に市場変更
ミクシィのターニングポイント
ミクシィといったらSNSの「mixi」でおなじみの会社です。
「mixi」といったらもう10年以上前に一世を風靡したSNSです。
このヒットにより会社名を「イー・マーキュリー」から「ミクシィ」に変更し、同年9月に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場しました。
その後、mixiが廃れていっていつの間にか「モンスト」を2013年に出しています。
このモンストが大ヒットし、これによって大きな企業となって東証一部への上場ができるようになりました。
SNSのmixiとは
mixiとは2004年に誕生した『mixi(以下、ミクシィ)』。SNSブームの草分け的存在となった老舗サービスです。
機能は日記、コミュニティ、ゲームなどを中心に多岐にわたっています。
連絡は電話かメールの時代には革新的なサービスでした。
日本初のSNSとして当時ミクシィは大きく躍進しましたが、TwitterやFacebookの台頭によってブームが終焉しました。
これによって株式会社mixiは業績が低下しました。
モンスターストライク
2013年9月27日よりサービス開始したゲームです。
2015年5月20日に全世界累計利用者数3,000万人を達成し、株式会社ミクシィの営業利益を飛躍的に押し上げ、株式会社mixiの基幹事業になっています。
そのインパクトは、App Store売上ランキングのゲームカテゴリーでパズル&ドラゴンズを抜いたことや、半年で株価が6倍以上に急伸したほどです。
リストラを断行するまでに低迷していた同社の窮地を救いました。
2017年1月20日に、全世界累計利用者数4,000万人を突破しています。
ミクシィの業績:2016年がピークであとは下り坂
下のグラフはミクシィの業績です。
赤枠が比較的重要な項目です。
売上高:×
下り坂です。
2016年にピークを叩き出してからは完全に下り坂の成績です。
普通に危険性が高いと判断してしまいます。
営業利益率:×〜△
こちらも下り坂です。
最も利益率はまだ10%を超えているのは数少ない良い点かもしれません。
ただ、これ下落のペースを見るといつ10%を下回るかヒヤヒヤものです。
EPS(1株当たり当期純利益):×
EPSもだめですね。
完全な右肩下がりでお世辞にも買いたいとは思いません。
セグメント別利益
見ての通りミクシィは「ライフスタイル事業」「デジタルエンターテイメント事業」「スポーツ事業」の3枚看板でやっています。
しかし、実質的にはデジタルエンターテイメント事業の一本立ちで利益を出しています。
このことからもモンストで持っている会社と思われてしまいます。
ミクシィの財務体質:かなり好体質
総資産:◎
総資産は基本的に増加傾向です。
自己資本比率:◎
自己資本比率は右肩上がりです。
純資産を見ても順当に増えているので企業としての安全性はかなり高いです。
BPS(1株当たり純資産):◎
BPSも増加傾向です。
株主にとって価値が上がり続けています。
有利子負債:◎
有利子負債は少し発生しています。
ただ、全体の負債の中の5%程なので大きくはないです。
*総資産回転率(売上高÷総資産) :△
総資産回転率は経営効率を計る指標で「保有資産1円がいくらの売上を生むか?」という指標になります。
総資産回転率は右肩下がりです。
総資産が上がっている割には売り上げが上がっていないからですね。
やはりモンストの急騰が良かったんですね。
良くも悪くもモンストに業績が支配されている会社です。
ミクシィのキャッシュの動き:キャッシュは優秀
営業活動によるCF:◎
黒字を出し続けているのは良いです。
2021年に大きく増えているのはちょっと理由はわからないです。
フリーCF:○
2020年を除き常に黒字です。
現金:○
1300億円から1500億円の中でステイしています。
総資産2200億円に対して1400億円と現金にかなり余裕があります。
余裕がありすぎるのでもう少し投資か還元に行けばいいのにと思えるレベルです。
総資産回転率:△
ネットキャッシュは「現金」ー「有利子負債」で示されます。
そのネットキャッシュが総資産に占める割合を表すと下の図表になります。
総資産回転率は、「総資産がどれだけ効率的に売上高を生み出したか」という資産運用効率を表す指標です。
売り上げが出ていない一方で資産はため込んでいるので近年になるほど効率よく売り上げを出すことができていません。
いい加減売り上げを上げるようにできなければまずいです。
ミクシィの配当:2021年に配当が減ったこと以外はとても良い
一株配当:×
2016年から下がり続けています。
普通に売上が下がって利益が下がって配当が出せなくなった印象です。
配当性向:△
直近で52%でそろそろ余裕が無くなる感じです。
*自社株買い
自社株買いについて簡単にまとめます。
- 株主のメリット
- 株価が押し上げられる
- 一株当たりの利益の割り当てが増える
- 会社のメリット
- 配当の総額を減らすことができる
ミクシィの株価:下降傾向
ミクシィの過去10年間の株価のチャートは以下のようになります。
2017年で高止まりして、それ以降は急激な下降です。
モンスト以外のヒット作品が出てきていないのが好感されていない要因ですかね。
評判
では、巷の評判を見てみましょう。
見るのは
- Googleのサジェスト
- 社員からの評判
- 投資家からの評判
Googleサジェスト
「mixi 株」で検索してみると以下のようなサジェストが出ました。
「やばい」とか「大暴落」がある一方で「急騰」のキーワードが上がっていました。
もしかして調子が良い要素があるのかな?と思って調べてみると2013年の記事しか出なかったので最近の話ではないようです。
あえてこのサジェストからストーリーを作ると
「株式会社mixiはSNSのmixiが廃れた後、モンスト大当たりして株価が急騰し、配当が大きくなるなどして調子が良かった。しかし、モンスト以外で良いタイトルのゲームを出すことができず株価が大暴落し、経営がやばいのではないかと思われる」
といったところですかね。
社員からの評判
- 上層部と下との意識に溝がある
- ハイリスクハイリターンを狙う会社
- その割にはハングリー精神が足りない感じ
社員から見たら結構いい会社のようです。
ただ、投資する身から見ると落ち目なのにふんわりした雰囲気のゲーム会社というのはいただけないかなぁ。
投資家からの評判
- 駄目だろもう…
- 会社側からプラス材料は出せない
- しんどいなこの決算
- 遅ればせながら決算資料読んだ。これから一段安にはならんやろ。そこまで悪くないっしょ。
上記のような評判です。
基本的には駄目な株扱いですが、今が底という観測も結構多いです。
総括:ゲームセクターの酸いも甘いも含んだ企業、ギャンブル性が高い
簡単にまとめますと以下のようになります。
- 業績:2017年以降は落ち目
- 財務体質:とても良い
- キャッシュ:常に黒字で良い印象
- 配当:2017年以降は下げ
- PBR:1.00倍:適性
基本的に手を出してはいけない高配当株です。
財務体質が良いのですが稼ぐ力が下げ止まりません。
稼いでいるセクターも企業報告書からもゲームが9割がたで完全にモンストに依存している企業です。