こんにちは多聞です。
今回は配当利回り4.1%の「3449 テクノフレックス」についてファンダメンタルズ分析を行います。
*2021/10/31現在
この記事の主旨
・テクノフレックスの業績・財務状況・キャッシュ・配当を分析
・その上で長期保有できる株価どうか判断する
テクノフレックスについて
簡単な概要
決算 | 12月 |
---|---|
設立 | 2001.10 |
上場 | 2019.12 |
特色 | ビル設備配管用フレキシブル継ぎ手首位。半導体装置用も。小型タンク防災関連、介護事業展開 |
連結事業 | 継手58(19)、防災・工事24(6)、自動車・ロボット9(-2)、介護9(11)、他1(28) <20・12> |
業種コード | 3550 |
業種名 | 金属製品 |
解説記事 | 【上振れ】自動車・ロボット部品想定上回る大幅回復。半導体製造装置向け真空機器も拡大。防災工事は首都圏再開発で後半出直る。営業増益幅拡大。22年12月期は大手半導体向け大型案件の真空機器出荷本格化。 【設備増強】新潟第4工場完成、発電所などの大型配管やSDF工法(劣化水道管内挿工法)用伸縮管の需要増対応。子会社産業用ロボット部品設備増強、年内増産開始。 |
ターニングポイント
- 1977年8月にフレキシブル継手の製造と販売を目的として設立
- 1978年 JT60真空容器用タマゴ型ベローズを開発
- これを機に原子力発電の重要配管に使用する伸縮管継手は、ほとんどのシェアを占める
- 1984年 屋内配管 ガス用フレキシブル管製作開始 国内シェアを30%
- 2014年 原子力発電所向け重要配管の国際的な規格認証の標準のASME-NPT取得
- アジアの伸縮管継手メーカーとしては初めての取得
要点
テクノフレックスは配管用フレキシブル継ぎ手の首位でこの事業がこの会社の大きな柱となっています。
特に原子力発電に使用する継ぎ手では日本の殆どのシェアを占めています。
直近では日本では原子力発電所は忌避されているので大きくなりようはありません。
しかし、全世界的にSDGsの推進の影響で火力発電所が減らされ、再生可能エネルギーとともに原子力発電所のニーズは増えます。 *以下のコンテンツ参照
上のコンテンツから考えるとテクノフレックスの原子力発電については今後も伸びていくと予想できます。
テクノフレックスの業績:2017年は吸収合併等で急成長
下のグラフはテクノフレックスの業績です。
赤枠が比較的重要な項目です。
売上高:○
急上昇はありますが実質横ばいです。
急上昇の要因は吸収合併によるものでしょう。
営業利益率:○
こちらも横ばいです。
大きな吸収合併後も安定して10%以上は出しているので好印象です。
EPS(1株当たり当期純利益):△
アップダウンが激しいですが基本的に横ばいな感じです。
セグメント別利益
ての通りテクノフレックスは「防災・工事事業」「自動車・ロボット事業」「継手事業」「介護事業」の4枚看板でやっています。
やはり主柱は歴史が長い「継手事業」です。
次いで「防災・工事事業」「介護事業」、最後に赤字ですが「自動車・ロボット事業」となっています。
赤字の「自動車・ロボット事業」も赤字額が少ないですが、今後も赤字が伸びていくかどうかは一応気になります。
テクノフレックスの財務体質:微増
総資産:○
総資産はわずかに増加傾向です。
自己資本比率:○
少しずつ改善中です。
純資産を見ても順当に増えているので企業としての安全性はかなり高いです。
BPS(1株当たり純資産):○
BPSは増加傾向です。
株主にとって価値が上がり続けています。
*総資産回転率(売上高÷総資産) :
総資産回転率は経営効率を計る指標で「保有資産1円がいくらの売上を生むか?」という指標になります。
総資産回転率は右肩上がりです。
2017年に規模の大きい合併吸収を行ってからグンと総資産回転率は上昇しています。
企業にとって確実にプラスになる合併を行うことができたのでしょう。
今後はこれが下落基調にならないととても良いです。
テクノフレックスのキャッシュの動き:キャッシュは優秀
営業活動によるCF:◎
黒字を出し続けているのは良いです。
フリーCF:◎
常に黒字です。
現金:◎
ここ5年間は微増し続けています。
総資産に占めるネットキャッシュの割合:△
ネットキャッシュは「現金」ー「有利子負債」で示されます。
そのネットキャッシュが総資産に占める割合を表すと下の図表になります。
総資産回転率は、「総資産がどれだけ効率的に売上高を生み出したか」という資産運用効率を表す指標です。
会社の持っている現金の割合は赤字状態から改善されて黒字に転じています。
その割合こそは小さいですが経営状態は上向きなのでしょう。
テクノフレックスの配当:ばらつき多く不安
一株配当:×
ばらつきが激しいです。
配当性向:△
直近で66%で無理して配当を出している感じです。
*自社株買い
自社株買いについて簡単にまとめます。
- 株主のメリット
- 株価が押し上げられる
- 一株当たりの利益の割り当てが増える
- 会社のメリット
- 配当の総額を減らすことができる
テクノフレックスの株価:下降傾向
テクノフレックスの過去2年間の株価のチャートは以下のようになります。
1000円で収束している感じです。
900円代前半なら割安感が出るかもしれません。
評判
では、巷の評判を見てみましょう。
見るのは
- Googleのサジェスト
- 社員からの評判
- 投資家からの評判
Googleサジェスト
「テクノフレックス」で検索してみると以下のようなサジェストが出ました。
「テクノフレックス 半導体」がこの中で違和感があるワードなので調べてみました。
その結果、テクノフレックスは半導体製造設備のクリーンブース用の真空管の製造に関係していることがわかりました。
今は全世界で半導体の需要は高く、しばらくは需要がなくなることはないでしょう。
ですので、この分野で確固たる地位を占めることができると安定感は増すでしょう。
社員からの評判
社内の雰囲気は良くもなく悪くもない感じのようです。
あまり社員のモチベーションは高くない印象を持ちました。
今後大きなイノベーションが起きる気はあまりしないです。
投資家からの評判
- 1000円以下なら買いを検討できる
- 熊本は半導体製造工場としては環境が良いので期待感がある
- 今後は災害対策のために水道管などの配管の強化が見込まれるので期待できる
総括:将来性に期待できると判断できるなら投資対象
簡単にまとめますと以下のようになります。
- 業績:基本的に横ばい
- 財務体質:良化
- キャッシュ:常に黒字で良い印象
- 配当:上下が激しく安定感はない
- PBR:0.94倍:やや割安
基本的には投資しても良い会社だと思います。
しかし、長期間保有する高配当株として考えると配当の上下が激しすぎる点がかなり大きなマイナスポイントです。
どちらかというと将来性を期待して購入する株だと思いました。
最もその将来性というのも「企業自身がイノベーションを起こすのではなく状況が企業にとって良いものになりそうだ」という意味合いです。
購入するなら「原子力発電」「半導体需要」「配管関係のインフラ」の状況を注目した上で買うようにしましょう。