こんにちは多聞です。
今回は配当利回り4.2%の「1605 INPEX」についてファンダメンタルズ分析を行います。
*2021/12/10現在
この記事の主旨
・INPEXの業績・財務状況・キャッシュ・配当を分析
・その上で長期保有できる株価どうか判断する
INPEXについて
簡単な概要
決算 | 12月 |
---|---|
設立 | 2006.4 |
上場 | 2006.4 |
特色 | 原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)を操業 |
連結事業 | 原油66、天然ガス32、他2【海外】55 <20・12> |
業種コード | 1050 |
業種名 | 鉱業 |
解説記事 | 【上振れ】柱のイクシスLNGは上期定修で原油・ガス生産量減。だが、想定超の原油価格上昇で、前号より営業益増額。豪FLNGなど特損なく純利益黒字転換。増配。22年12月期は油価高水準で営業益横ばい圏。 【中 断】20年代後半に生産開始予定のインドネシア・アバディLNGはコロナ影響で現地調査中断。計画遅延も。長崎県五島市沖の浮体式洋上風力の事業者に選定。 |
これまで投資対象としてはパッとしていませんでした。
米国のシェールガス増産によって、ガス価格が長期的に低下してきたためです。
しかし、これから世界中で脱炭素が進められ、脱石炭は急速に進むと予想されます。
自然エネルギーの大幅な供給拡大が見通せない中で、急速な脱石炭・脱石油が進められると、その歪みで、環境負荷が相対的に低いガス需要が急速に拡大すると考えられます。
さらに、出力が安定しない自然エネルギーによる発電が増えると、調整電源としてガス火力の需要が拡大すると予想できます。
中東アフリカの油田などで焼却処理されるガスを皆無にするためにも、ガスをLNGに転換して世界中で活用する技術の重要性は、一段と高まると考えられます。
LNGで高い技術を有し、これから大きく生産量を拡大させていくと判断されるINPEXは、成長株としても割安株としても、投資価値が高いと判断します。
INPEX株は、天然ガス価格上昇を受けて足元上昇してきましたが、いまだにPER7倍・PBR(株価純資産倍率)0.5倍と株価指標から見て「きわめて低い」水準にあると思われます。
長期投資して上値余地は大きいと判断しています。
同社は、オーストラリア(イクシス)・インドネシア(アバディ)などで、技術的に難しい海底ガス田を開発、陸上にガスを誘導してLNG(液化天然ガス)に転換して日本などに輸出するプロジェクトを行っています。
埋蔵量・生産量とも今後、さらに大きく拡大することが期待されます。
長い年月をかけて築き上げてきた海底ガス田からのLNG供給インフラが、他社にマネできない差別化となっています。
INPEXの業績:不安定で微減傾向
下のグラフはINPEXの業績です。
赤枠が比較的重要な項目です。
売上高:横ばい
1兆1000億円を中心に大きく見て横ばいです。
営業利益率:減少傾向だが40%前後
40%前後をうろうろしながら2010年以降で見れば微減傾向です。
ただ、それでも営業利益率は約40%と高いです。
EPS(1株当たり当期純利益):アップダウンが激しすぎて判定不可
一言で言って判定不可能です。
アップダウンが激しすぎ、不安定です。
セグメント別利益:判断できない
石油中心のエネルギー事業のためメイン市場は産油地域のようです。
次点でアジア市場のようですね。
アジア市場に比重が大きいのは天然ガスの掘削が関連しているのかもしれません。
アメリカの赤字が減っているのは判断としては正しい気がしています。
全体でみると判断が付きづらく、社会情勢によって結構左右されている印象です。
INPEXの財務体質:有利子負債の増加が気になる
総資産:微増中
総資産は直近では微増傾向です。
2014年までは大きく増えていたのですが、それ以降は増加の具合は鈍化しています。
自己資本比率:継続的に微減傾向
減少中です。
大きな減少をしてはいませんが、継続的に減少しているので心配にはなります。
なお、有利子負債は増えているのも印象悪いです。
BPS(1株当たり純資産):増加傾向
BPSは増加傾向です。
株主にとって価値が上がり続けています。
*総資産回転率(売上高÷総資産) :明確な下落基調
総資産回転率は経営効率を計る指標で「保有資産1円がいくらの売上を生むか?」という指標になります。
はっきりと下落基調です。
悪印象です。
INPEXのキャッシュの動き:現金の割合が少ない
営業活動によるCF:○
基本的には黒字です。
フリーCF:△
黒字赤字入り乱れています。
安定性は低いです。
総資産に占めるネットキャッシュの割合:マイナス落ちで悪印象
ネットキャッシュは「現金」ー「有利子負債」で示されます。
そのネットキャッシュが総資産に占める割合を表すと下の図表になります。
総資産に占めるネットキャッシュの割合が多いほどその企業の財務は健全と評価できます。
そもそもネットキャッシュがマイナスになってます。
有利子負債が多いですのでまずい状況です。
INPEXの配当:悪くないが不安がないわけではない
一株配当:○
基本的に減少はさせないようです。
ただし、2019年から2020年にかけて減少しているので、次の年でどうなるかを要注目です。
配当性向:○
これもアップダウンが激しいので判定できないです。
とりあえず、不安定ということになります。
*自社株買い
自社株買いについて簡単にまとめます。
- 株主のメリット
- 株価が押し上げられる
- 一株当たりの利益の割り当てが増える
- 会社のメリット
- 配当の総額を減らすことができる
テクノフレックスの株価:下降傾向
テクノフレックスの過去2年間の株価のチャートは以下のようになります。
評判
では、巷の評判を見てみましょう。
見るのは
- Googleのサジェスト
- 投資家からの評判
Googleサジェスト
「INPEX」で検索してみると以下のようなサジェストが出ました。
投資家からの評判
1200円前後までは買い
配当ウィークで跳ね上がる可能性あり
全体的なトレンドは下落傾向にも思える
れています。
総括:
簡単にまとめますと以下のようになります。
- 業績:不安定で微減傾向
- 財務体質:有利子負債の増加が気になる
- キャッシュ:現金の割合が少ない
- 配当:悪くないが不安がある
- PBR:0.49倍:割安
安心して長期間持てる高配当株ではありません。
とりあえず業績を見る限りでは不安が多いです。
この企業の株を買うとしたら「SDGsの世界での将来性に期待する」場合に買うほうがいいでしょう。
記事の序盤でも書きましたが、環境にやさしい天然ガスの技術力が非常に高いです。
クリーンなイメージのある天然ガスでの発電は不安定な自然エネルギーの補強に利用する可能性が高いので、この技術力が高いINPEXは今後伸びる可能性は高いです。
この伸びる可能性に投資するかどうかは人それぞれなので伸びると思うならPBRが割安の現時点で買い、その後伸びてもらって、維持し続けて配当をもらうのを志向する人が買うと良いと思います。