こんにちは、多聞です。
今回は「高額療養費制度を知ろう②~実際に使う手順とお得に使うポイント~」ということをテーマに書いていこうと思います。
前の記事では主に医療費が高額になったとき、どれくらいの所得の人がいくら払えばいいかをメインで扱いました。
今回は実際にどうやって使うのか。
どういう使い方をすればお得なのか。
をメインにしていこうと思います。
では目次です。
概要:健康保険にはお得な制度が多い
健康保険には様々な方法で加入者を保護しています。
高額療養費制度は特にその保護の恩恵が強くでています。
まとめていうと、同一月内ならその世帯の治療費が約9万を超えると誰がどの治療をしても実質無料になります。
健康保険は他にも特定疾病の人の継続的な医療費を軽減しています。
また、医療費や介護費が多大になった人の負担も軽減できるようになっています。
*前提として今回は年収600万の一家4人のサラリーマンを想定します
一家の大黒柱が癌になって治療費が100万円かかった場合
では、いきなり具体的な話ですが一家のお父さんに癌が発見されて治療費が100万円かかったとします。
あくまで金銭的に、どのように治療に取り掛かればいいでしょうか。
治療費が100万円だと保険の三割負担で、負担金は30万円になります。
しかし、高額療養費制度を活用すれば87430円です。
ここまでは以前の記事で詳しく書きました。
今回はここからどのように動くといいのか?です。
オーソドックスなパターン:はじめに窓口で3割負担の30万円の支払いをする。
一番オーソドックスなパターンは、
- 治療費を窓口で30万円払う
- 自身の加入している全国健康保険協会の窓口に行く
- 高額療養費の支給申請を行う
- 大体3か月後に還付金を受け取ることができる
このパターンがよくあるパターンだと思います。
このパターンの欠点は一時的に30万円という大きな支出が出て、還付まで3か月もかかってしまうことです。
状況によっては家計に対してかなり致命傷になりかねません。
しかし、これを回避する方法があります。
家計の負担を軽減するパターン:治療費を払う前に「限度額適用認定証」を利用する
知っていると家計へのダメージが軽減できるのが限度額適用認定証を入手して治療費を払うパターンです。
- 治療費が高額であることを把握する
- 自身の加入している全国健康保険協会の窓口に行く
- 「限度額適用認定証」を申請する
- 「限度額適用認定証」を提示する
- 治療費を87430円支払う
このように限度額適用認定証を医療機関に提示すると支払金額は30万円から87430円に激減します。
これなら、家計に対する負担も危険なことにはならないと思います。
では、ここからはさらに出来るだけ出費を抑える方法を示していきます。
損しないために①:月の初めに治療を行う
高額療養費制度はその月々の治療費が自己負担限度額を超えてしまったときに使用できる制度です。
では、もし今回の治療が2回に分けて行われる場合を想定しましょう。
- 月末に1回目、次の月に2回目でそれぞれ50万円かかった場合→支払額:174860円
- 月初に1回目、次の月に2回目でそれぞれ50万円かかった場合→支払額:87430円
となります。
こうなるのは高額療養費制度が月ごとの医療費で判断されるためです。
悠長に構えられる病気ならば月初に治療を開始するのがいいでしょう。
損しないために②:限度額適用認定証を使わずクレジット払い
先ほど限度額適用認定証は家計の負担を軽減すると言いましたが、30万円ならそこまで負担ではない人もいるかもしれません。
こういった人であり、病院がクレジットカード決済OKなら限度額適用認定証を使わないほうがお得です。
というのも限度額適用認定証を使わないでクレジット決済出来れば30万円分の決済ポイントが入るからです。
30万円が負担にならない人にとっては微々たるものかもしれませんが利用するのはありだと思います。
損しないために③:4か月以上、医療費が高くなるとさらに支払額が減る
癌の場合は抗がん剤などで月々の治療費が何十万になることがあります。
高額療養費制度があるとはいえ長引く治療とそれにかかる費用は家計の負担になります。
しかし、それを軽減する制度があります。
高額療養費制度には直近12か月以内で4か月以上自己負担限度額を上回っているならさらに自己負担額を減らす方法があります。
それは「多数該当」という仕組みです。
これによって高額療養費制度で支払額が87430円だったものが、44400円になるです。
この仕組みは特別申請が必要というわけではないようです。
一応、窓口で申請した際に一声かけておくといいでしょう。
損しないために④:同じ月なら別々の病院の治療費も実質無料にできる
今回の癌の場合、
- セカンドオピニオン、サードオピニオンとして、別の病院でCTスキャンなど高額な診察を受けたとします。
- この場合、それでも支払額は高くて2万円くらいになっていしまうかもしれません。
- しかし、高額療養費制度でこの2万円が実質無料にできます。
- というのも高額療養費制度は同一月内なら他の医療機関の治療費も合算できる対象になるからです。
これによってほかの病院の診察代金はそれぞれの病院で資料(レセプト)をもらえばペイできます。
損しないために⑤:同じ世帯なら治療費は合算できる
これは発送としては先ほどの④に似ています。
違うのは例えば大学で一人暮らししている息子でも高額療養費制度の対象になることです。
具体的に言うと、
- 父親が癌の治療を受けた同じ月に息子が階段から落ちて骨折したとします。
- この場合、息子の治療費も高額療養費制度の対象になります。
- これによって、息子が治療を受けた病院で資料(レセプト)をもらえば実質無料で息子の治療費が払えてしまうのです。
損しないために⑥:食事代・差額ベット代・保険適応外の治療は制度の対象外
これまでは高額療養費制度の対象を挙げてきましたが、上記の3つはこの制度の適応外です。
- 食事代:入院時の食事は治療とは関係ない
- 差額ベット代:要は個室に入るなどは治療に関係ない
- 保険適応外の治療:健康保険側から意味のある治療であるのか不明
このようにこの3点は高額療養費制度の対象にはなりません。
さらに言うと、もちろん美容整形は入りませんし、歯の矯正も対象にはなりません。
さらに高額な医療費を軽減する方法
特定疾病で治療が長期化する場合はひと月の負担金額は1万円
次に挙げる人はひと月の治療費の負担金額が1万円になります。
- 人工透析を受けている慢性腎不全の患者
- 血友病
- 抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(AIDS)の人
- etc.
上記の人は、申請後、特定疾病療養受療証の交付を受けて、医療機関の窓口にその受領証を提示することで、1ヵ月の支払い額を10,000円にできます。
世帯の医療費と介護費用を合わせた出費は年間67万円まで
同一世帯内に公的介護保険のサービスを利用している人がいる場合は高額介護合算療養という制度があります。
毎年8月から翌年の7月までの1年間の医療費の自己負担額(健康保険の1~3割負担分)と介護保険の自己負担額の合計が基準額を超えた場合に、超えた金額が支給されます。
平均的な所得の世帯であれば、医療費と介護費用を合わせた年間の自己負担額は67万円ですみます。
まとめ:日本の公的保険制度はとても手厚い
以上をざっくりまとめますと、日本の公的保険制度はとても手厚くなっています。
これらのことを知っているのと知らないでいるのとでは医療費に対する危機感も異なるでしょう。
今回は以上となります。
皆さんの保険・生活の参考になれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。