岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、企業の自社株買いに関連してガイドラインを作る可能性に言及したようです。
きっかけは自社株買い制限の検討を求めた立憲民主党の落合貴之氏の質問に対する答弁となっています。
以下、答弁内容
「自社株買いについてはそれぞれの企業判断に基づいて状況に応じて判断していく問題ではありますが、私自身、多様なステークホルダーを重視して持続可能な新しい資本主義を実現していくということから考えました時に、ご指摘の点は大変重要なポイントでもあると認識を致します」
「企業のさまざまな事情や判断がありますので、画一的に規制するということは少し慎重に考えなければいけないのではないか。個々の企業の事情などにも配慮したある程度の対応、例えばガイドラインとか、そういったことは考えられないだろうかということは思います」
完全に余計なこと言ってます。
こんなの実質的に自由な株取引の規制を設けることに前向きであることを言っているようなものです。
確かに、赤字決算による株価の下落を防ぐために借金をして自社株買いをするのは問題です。
岸田総理はこれまでも増税フラグを立てまくっているので市場が反応して警戒感を強めたのでしょう。
自社株買いについて
自社株買いとは簡単に言うと流通している株を会社が購入することによって絞って、株の希少価値を高めることで株価を上げる行為です。
このような自社株買いは会社の利益を使って行っています。
これ自体は一般株主にとっては株価が上昇するので普通にやる分なら良い話です。
問題が発生するパターン
アメリカなどに多いのですが、企業のトップの給料が株価に連動する場合があります。
こうなると企業のトップは株価を上げる努力をするでしょう。
普通はこの努力というのは「生産効率を上げて利益を増やす」「戦略転換して企業を成長させる」という努力になります。
そして、「自社株買いを行って、株価を上げる」というのも適正であれば正しい努力になります。
しかし、適正でなかった場合が問題です。
適正でない場合で最も分かりやすいのは「有利子負債によって自社株買いを行う」ことです。
この場合は明らかに会社にマイナスな影響を与えているにもかかわらずトップの給料が上がるからです。
岸田総理の発言の問題点
先ほどの問題発生するパターンなら岸田総理の発言はまっとうなものになります。
しかし、これまでの岸田総理は「新しい資本主義w」の名のもとに金融所得課税をやりたがっているのが見え見えです。
今回の自社株買い規制についても「新しい資本主義w」の一例として行いたいのでしょう。
上記のように「新しい資本主義w」を免罪符にして株式市場を縛り付けることに何の懸念も持っていないのでしょう。
少なくとも市場はそのように感じて、「岸田がまたバカなことを本気な顔して言ってるわ…」と警戒感を出して株価が下落したのでしょう。
岸田総理が考えて規制を入れるのはいいのですが、株式市場の投資家は身銭を切って投資をしているわけです。
このような投資家に比べて、岸田総理やその裏にいる財務省の投資も商売もほとんどしたことのない学歴のみエリートが投資のイロハを知っているとは思えません。
そんなことも自覚せず自社株買いのような自由な取引の一部に対して規制を入れるとそのしわ寄せが別の形で顕在化するリスクがあります。
岸田総理に対する不安
これまでも岸田総理は「新しい資本主義」を唱えて以下のような増税フラグを立てています。
- 金融所得課税を猛プッシュ
- 来日外国人の免税範囲の縮小
- 資産家の税逃れの防止
- ODAへの予算への圧力強化
- 住宅ローン減税の縮小
これらのことから「新しい資本主義」=「共産主義に近いもの」という印象を持っている人も増えているでしょう。
要は富めるものから取って、分配するというのですからどうしても共産主義に近いものを感じてしまいます。
日本の先行きを考えるとアメリカ型の資本主義にシフトしてほしいですね。