こんにちは多聞です。
今回は配当利回り8%の「日本郵船」についてファンダメンタルズ分析を行います。
*2021/9/2現在
日本郵船について
簡単な概要は以下の通りです。
決算 | 3月 |
---|---|
設立 | 1885.9 |
上場 | 1949.5 |
特色 | 海運で国内首位。陸空運強化、傘下に郵船ロジ、日本貨物航空。コンテナ船は18年4月事業統合 |
連結事業 | 定期船10(83)、航空運送7(27)、物流35(5)、不定期専用船42(3)、不動産0(38)、他5(-2) <21・3> |
業種コード | 5100 |
業種名 | 海運業 |
解説記事 | 【反 落】コロナ禍が直撃したバラ積み船や自動車船が復調。LNG船は安定して稼ぐ。反面、航空貨物や持分のコンテナ船は需給逼迫で急騰した運賃の反落を見込む。不採算船返船に伴う特損消え純益横ばい。 【洋上風力】秋田の地元企業と提携し、作業員輸送船の所有および船舶管理の事業化へ。欧州企業とは同輸送船の傭船契約締結。ドイツ社とは大型客船の造船契約結ぶ。 |
日本最大の海運業会社です。
歴史もあり、その規模を武器に安定した運営をしています。
さて、結論としましては
長期間安心して持てる高配当株ではありませんでした。
分析は下をどうぞ。
日本郵船の売上と利益について
下のグラフは日本郵船の業績です。
赤枠が比較的重要な項目です。
売上高:✖
売上高はやや軟調です。
営業利益率:△
こちらは横ばいです。
直近で上がっていますが基本的にはかなり少ないでしょう。
ちなみに経常利益の話ですが、こういった水運業の平均利益率は1.58%です。
そう考えると利益率が2%であることが多いことは割と優秀ということが分かります。
EPS(1株当たり当期純利益):✖
これは上下が激しいです。
あまり安心して保持し続けることは出来なさそうな印象です。
日本郵船の財務体質
下のグラフはエーワン精密の財務状況になります。
総資産:△
総資産は横ばいです。
自己資本比率:✖
自己資本比率は25%~30%のほぼ横ばいです。
水運業の返金は40%くらいであることを考えると少し少ないです。
BPS(1株当たり純資産):△
こちらもほぼ横ばいです。
しょっぱいです。
有利子負債:✖
結構あってそれも減っていないです。
*総資産回転率(売上高÷総資産)
総資産回転率は経営効率を計る指標で「保有資産1円がいくらの売上を生むか?」という指標になります。
総資産回転率は若干の右肩下がりです。
日本郵船のキャッシュの動き
営業活動によるCF:〇
赤字に落ちたことはなく、安定して黒字です。
フリーCF:△
黒になったり赤になったりで安定しないです。
現金:△
一時増えましたがその後は減って、増えていません。
ネットキャッシュ及び総資産に占める割合:✖
ネットキャッシュは現金から有利子負債を引いた額です。
そのネットキャッシュが総資産に占める割合を表すと下の図表になります。
もうずっとマイナスで横ばいの状況とかやばい感じです。
日本郵船の配当
一株配当:△
一株配当は増減が激しいですね。
高配当を期待して安心して持てるようなものではありません。
最も直近の一株配当200円は熱すぎです。
配当性向:△
配当性向はあまり高くなくて余裕がある感じも感じられます。
ただ、余裕があっても株主に還元する意識が低いとも考えられます。
*自社株買い
自社株買いについて簡単にまとめます。
- 株主のメリット
- 株価が押し上げられる
- 一株当たりの利益の割り当てが増える
- 会社のメリット
- 配当の総額を減らすことができる
さて、エーワン精密は2015年に自社株買いを行いました。
これを機に減り続けたキャッシュの動きが改善されました。
効果のある自社株買いができたのでしょう。
日本郵船の株価
過去5年間の株価のチャートは以下のようになります。
最近までは横ばい〜下げ気味というトレンドでしたが、ここ1年で5倍も急上昇しています。
これは簡単に言うと海運業の運賃が上昇したためです。
これはコロナの影響で生活様式が変わり、耐久消費財(家具が代表的)の需要が増えたため、コンテナ船の輸送量が増加したためと言われています。
日本郵船の株価が高値を維持するかどうかは新しい生活様式が完全に馴染むかどうかだと思います。
もっとも、現在は明らかに高くなりすぎている感があるので手を出しにくくなっていますね。
総括:長期間安心して持てる高配当株ではない
簡単にまとめますと以下のようになります。
- 業績は悪い
- 財務体質は悪い
- キャッシュは有利子多すぎ
- 配当に対する姿勢は消極的
- PBR:2.41倍
- コロナによって特需が発生
- 海運業日本最大手
高配当株としてはダメな会社だと思います。
業績も財務体質も株主に対する姿勢もいまいちです。
現在は特需の発生で色々フィーバーしているので際限なく株価が上がっていますが、どこかで反動が起こることがとても危惧されます。
少なくとも私が欲しい枕を高くして長期間持てる高配当株ではありません。