こんにちは多聞です。
今回は配当利回り3.3%の「東鉄工業」についてファンダメンタルズ分析を行います。
*2021/9/15現在
この記事の主旨
・東鉄工業の業績・財務状況・キャッシュ・配当を分析
・その上で長期保有できる株価どうか判断する
東鉄工業について
簡単な概要は以下の通りです。
決算 | 3月 |
---|---|
設立 | 1943.7 |
上場 | 1962.11 |
特色 | 線路の維持補修や駅舎など鉄道工事に強いゼネコン。JR東関連が大半。総還元性向4割メド |
連結事業 | 土木68(10)、建築25(12)、他7(9) <21・3> |
業種コード | 2050 |
業種名 | 建設業 |
解説記事 | 【大幅減益】期初受注残787億円(前期比1・1%減)。主要顧客のJR東がコロナ影響大きく、耐震工事など先送り懸念。保線工事底堅いが補えず。マンションなど民間案件も競争激化で採算低い。配当は維持。 【新中計】難工事多い駅改良のノウハウを武器に、工場案件など民間領域拡大に力点。今後3年間で技術力強化への設備拡充に160億円投資計画、大型保線機械など増備。 |
東鉄工業は鉄道の軌道保守に強い、建設会社です。
JR東日本との関係は強く、業績の依存度も高いのでJRの動きと業績が連動します。
昨今ではJR東日本がコロナの影響をモロに受けて耐震工事などが先送りになるなどJR東日本からの発注が減って大幅減益。
このようにJR東日本に滅茶苦茶左右されるのでこの企業を買うかどうかはJR東日本がどうなるかを考える必要があります。
では、本記事では東鉄工業の業績や財務内容を中心に長期保有できる高配当株かどうかについて私の考えを紹介します。
東鉄工業の業績:2022年が悪く持ち直すかが大事、2021年までならGOOD
下のグラフは東鉄工業の業績です。
赤枠が比較的重要な項目です。
売上高:〇
ほぼ右肩上がりです。
2017年からは横ばいですが、高配当企業は往々にして売上高は微増or停滞なので許容範囲内です。
ここから下降傾向になるとだめですけど…
営業利益率:△
2017年までは右肩上がりです。
それ以降は10%前後をウロウロしています。
ただし、営業利益率10%は十分優秀で、得意分野では確固たる地位を占めているということになるのでここもそこまで問題視しなくてもよいかと思います。
ただ、2022年の予定が7.68%というのはいただけません。
これが一時的なものなら良いのですが2023年も8%を下回ると安心して保持するのは難しくなると思います。
EPS(1株当たり当期純利益):△
2020年が309円でピークです。
2021年が少し下がって281円、2022年の予定が大きく下がって203円といただけない感じです。
やはり2022年の予定が悪いですね。
東鉄工業の財務体質:かなり好体質
下のグラフは東鉄工業の財務状況になります。
総資産:◎
総資産は基本的に増加傾向です。
2021年は少し下がってますが誤差範囲と考えます。
自己資本比率:◎
自己資本比率は右肩上がりです。
純資産を見ても順当に増えているので企業としての安全性はかなり高いです。
BPS(1株当たり純資産):◎
BPSも増加傾向です。
株主にとって価値が上がり続けています。
有利子負債:◎
有利子負債はないようです。
*総資産回転率(売上高÷総資産) :
総資産回転率は経営効率を計る指標で「保有資産1円がいくらの売上を生むか?」という指標になります。
総資産回転率は右肩下がりです。
総資産が上がっている割には売り上げが上がっていないからですね。
この場合だと総資産を持て余している状態です。
もう少し総資産を売り上げに持っていけるようにしてほしいですが、あまりそういう会社ではないのがなんとも…
東鉄工業のキャッシュの動き:キャッシュは優秀
営業活動によるCF:◎
黒字を出し続けているのは良いです。
2021年に大きく増えているのはちょっと理由はわからないです。
フリーCF:◎
常に黒字です。
現金:○
増え続けてますね。
現金にかなり余裕があります。
余裕がありすぎるのでもう少し投資か還元に行けばいいのにと思えるレベルです。
ネットキャッシュ及び総資産に占める割合:?
東鉄工業は有利子負債がないので「現金」がネットキャッシュになります。
そのネットキャッシュが総資産に占める割合を表すと下の図表になります。
2020年までは下落基調で2021年は急上昇しています。
2021年が急上昇しましたが、これが一時的なものかどうかが重要ですね。
東鉄工業の配当:2021年に配当が減ったこと以外はとても良い
一株配当:○
2020年までは上がり続けていましたが、直近の2021年に減配しています。
おそらく配当性向が30%を上回ったからだと予想しています。
配当性向:○
直近で32%なのでまだ余裕はあるでしょう。
ただ、企業としては30%を上回るのは嫌だと思っている印象があります。
*自社株買い
自社株買いについて簡単にまとめます。
- 株主のメリット
- 株価が押し上げられる
- 一株当たりの利益の割り当てが増える
- 会社のメリット
- 配当の総額を減らすことができる
武田薬品工業は配当金を配るようになってから積極的な自社株買いは行っていません。
東鉄工業の株価:下降傾向
東鉄工業の過去10年間の株価のチャートは以下のようになります。
2018年まで上昇傾向、それ以降は緩やかな下降傾向な感じです。
24月線に沿って動いているように見えるのでテクニカル的には24月線を注目するのも良いかもしれません。
評判
では、巷の評判を見てみましょう。
見るのは
- Googleのサジェスト
- 社員からの評判
- 投資家からの評判
Googleサジェスト
サジェストは上のようになります。
まあ、基本激務のようですね。
社員からの評判
忙しく休みが少ないがその分給料が多いようです。
内部留保が溜まっているんだから、その分雇用を増やしても良さそうなんですけどね。
投資家からの評判
リベ大で紹介された関係で一時的に上昇したみたいですね。
しかしその後はさっぱりなようです。
基本的に東鉄工業はJR東日本から受注するばかりで自社で成長する気がないように見られているようです。
そのような守る気しかしない企業というイメージが付いて嫌気されているようです。
総括:いい企業だけどもっと良い企業がある気がする
簡単にまとめますと以下のようになります。
- 業績:2021年までは良い
- 財務体質:とても良い
- キャッシュ:常に黒字で良い印象
- 配当:直近下がった以外はとても良い
- PBR:0.91倍:適性〜やや割安
長期保有する高配当企業だと思います。
ただ、JRに対する依存度がとても高いのが気になるところです。
これだけならまだ問題ないのですが、直近でお金を貯めこんでそれを使って業績を上げることをしてなさそうなところはちょっと印象悪いです。
JRを信じるなら20年くらいは持ち続けてもいいかもしれません。
しかし、東鉄工業自体の発展性には疑問符が付きますので、それをどう見るかが買うかどうかの判断の分かれ目になると思います。